【特集】~麻将博物館訪問レポート~ 世界最大の都市・重慶市に麻将博物館がオープン

【特集】~麻将博物館訪問レポート~ 世界最大の都市・重慶市に麻将博物館がオープン

麻雀の文化的価値を高めた麻将博物館の開館

1999年、麻雀専門誌『近代麻雀』などを発行する株式会社竹書房の創業者・野口恭一郎氏が発起人となり、千葉県いすみ市に「麻雀博物館」が開館した。
この博物館には、世界各地の希少価値が高い麻雀牌をはじめ、麻雀卓、牌ケース、関連絵画、専門書籍など、麻雀の歴史と文化的意義を物語る貴重な品々が収蔵されており、麻雀文化の発信拠点として世界中から注目を集めていた。

しかし、2012年、諸般の事情で同館は休館。所蔵品の多くは中国企業に売却されたが、その後さまざまな事情が重なり、長らく一般に公開される機会はなかった。

かつて千葉県いすみ市で開業していた麻雀博物館

それから13年。所蔵品を活用した再建を模索してきた中国の貿易会社代表・李永紅氏が、麻雀博物館の再開にふさわしい地として重慶を選定。世界的な麻雀人気の高まりも追い風となり、2025年4月、麻将博物館は中国・重慶にて新たなスタートを切った。

博物館オープニングと日中の麻雀関係者の集い

開館を記念して行われたオープニングセレモニーには、中国国内の麻雀関係者に加え、日本からも複数の関係者が招かれた。
日本からは、日本の麻雀博物館の管理人であった梶本琢程氏と元竹書房の関係者、それに李氏のビジネスパートナーである日本企業の代表に加え、「月刊麻雀界」編集長であり全国麻雀業組合総連合会(全雀連)理事長でもある高橋常幸氏も招待を受け式典に出席、館内を視察した。

歴史ある街と一体化した麻将博物館

新たに誕生した麻将博物館(※日本の博物館と区別するために“麻将”博物館とする)は、重慶市中心部から車で20~30分ほどの場所に位置する歴史的観光地「磁器口」の商業ビル3階全体を利用している。

磁器口は「磁器口古鎮」として知られ、昔ながらの中国の街並みが残る「磁器口老街」が国内外の観光客から高い人気を集めている。
その商店街のあちこちに博物館の案内が掲げられ、地域全体が博物館と一体となってプロモーションを行っている様子がうかがえる。

麻将文化の発信地として再始動!

開館式は4月26日、磁器口老街の特設イベントスペースにて挙行された。式典は開館記念式と記念麻雀大会の2部構成で、麻雀大会は2日間にわたり開催された。

開館式では、博物館を代表して郭鑫氏(博物館の共同経営者)が挨拶。
続いて来賓代表として高橋理事長、韓国の芸能事務所代表・池尹成氏が挨拶し、続いて世界ウェルネスマージャン連盟会長・田邊恵三氏の代理の王平氏より記念品贈呈が行われ、その後中国麻将文化研究家・張検氏が挨拶を行い、最後にテープカットで幕を閉じた。式典後は、来場者全員による館内見学が行われた。

博物館は、商業ビル3階すべてを活用し、約300㎡の展示スペースのほか、オリジナルグッズを扱うショップ、交流コーナーを備えている。さらに、未使用スペース約1000㎡があり、今後の拡張計画に向けて活用法を検討中とのことだ。

展示エリアは、麻将文化の奥深さを体感できる落ち着いた雰囲気で整えられており、展示品の一つひとつには丁寧なパネル解説が添えられている。展示の多くは所蔵品の写真や資料を用いた形式となっており、セキュリティ上の理由から一部の貴重品は未公開だが、今後の公開が期待される。

物販コーナーも充実しており、博物館限定のオリジナルグッズが多数並ぶ。
麻雀ファンにとっては、ここでしか手に入らない記念品の購入も大きな楽しみとなるだろう。

中国で拡大するリーチ麻雀の可能性

中国は「麻雀大国」として知られ、地域差はあるものの、人口の5割以上、最大で8割近くの人々が麻雀を嗜んでいるとされる。これは実に7億人にものぼる規模である。
一方で、過去には賭博との結びつきを懸念し、当局が厳しい規制を敷いていた時期もあり、大会の開催が困難となる場面もあった。

しかし、近年では高齢化社会における大衆娯楽・健康促進ツールとしての側面が見直され、一定の容認姿勢が示されつつある。

麻雀のルールについても多様性があり、国際公式ルールや四川ルールのほか、地域ごとのローカルルールが数多く存在している。

そんな中、日本式のリーチ麻雀の愛好者が若者を中心に増えており、約500万人の愛好者がいるとされている。

この大きな原動力になっているのが日本の「Mリーグ」が中国国内で放映されていることだ。
麻雀をプロスポーツのように競技化されている「Mリーグ」の影響でリーチ麻雀への関心が急速に高まっており、Mリーグで使用されている麻雀卓「レックスⅢ」も中国で高い人気を誇り、ノーレート雀荘に近い形態の「リーチ麻雀専門店」も各地で増加中だという。

麻雀人口ですでに日本に匹敵する中国において、このままリーチ麻雀が浸透していけば、数年以内に数千万人規模の市場が形成される可能性も十分にありえるだろう。

総括─麻将博物館が拓く国際麻雀の新時代

今回の重慶・麻将博物館の開館は、麻雀がただの娯楽ではなく、歴史と文化をまとった「知的な遊戯」であることを、あらためて世界に示す出来事となった。
博物館という公の場ができたことで、麻雀の文化的価値が可視化され、社会的なイメージの向上にもつながっていき、そしてこの動きは、中国だけでなく日本をはじめとする各国の麻雀文化や業界にも、少なからぬ影響を与えるに違いない。

また、世界中の麻雀ファンが集い、交流する場として、また新たなビジネスや国際的な連携が生まれる拠点としての可能性も広がるだろう。

もちろん、麻雀がギャンブルのイメージを払拭し、健全な競技として社会に根づいていくには、「健康増進」「文化交流」「頭脳スポーツ」といった観点からの理解と働きかけは不可欠だ。

そのためにも、日中の麻雀関係者が手を取り合い、文化と競技の両面から麻雀を育てていく姿勢がこれまで以上に大切になってくるだろう。

過去の歴史を大切にしながら、麻雀の未来を見据える場所──それが重慶に誕生した麻将博物館の意義かもしれない。

Read more

【Mリーグ11/6】高宮Mリーグ通算30勝目達成!〈麻雀ch〉

【Mリーグ11/6】高宮Mリーグ通算30勝目達成!〈麻雀ch〉

11月6日(木)のMリーグは2卓開催。ABEMA麻雀チャンネルでは、アースジェッツ・パイレーツ・サクラナイツ・ファイトクラブの試合が配信された。 第1試合結果 1着[KONAMI麻雀格闘倶楽部]高宮まり +61.5 2着[KADOKAWAサクラナイツ]阿久津翔太 +7.6 3着[EARTH JETS]三浦智博 ▲22.6 4着[U-NEXT Pirates]小林剛 ▲46.5 東4局親番での6000オールのリードを活かし守りきった高宮がトップ。個人初の3連勝とMリーグ通算30勝目を達成。 第2試合結果 1着[EARTH JETS]石井一馬 +59.5 2着[KONAMI麻雀格闘倶楽部]佐々木寿人 +11.9 3着[KADOKAWAサクラナイツ]堀慎吾 ▲13.9

By 麻雀界編集部
【Mリーグ11/6】復調へ!ビースト・ABEMASが両連対〈麻雀LIVEch〉

【Mリーグ11/6】復調へ!ビースト・ABEMASが両連対〈麻雀LIVEch〉

11月6日(木)のMリーグは2卓開催。ABEMA麻雀LIVEチャンネルでは、BEAST Ⅹ・ドリブンズ・ABEMAS・雷電の試合が配信された。 第1試合結果 1着[BEAST Ⅹ]東城りお +66.8 2着[渋谷ABEMAS]日向藍子 +24.8 3着[TEAM RAIDEN/雷電]瀬戸熊直樹 ▲18.3 4着[赤坂ドリブンズ]浅見真紀 ▲73.3 南場で跳満級の高打点を連発した東城がオーラスで逆転トップになるアガリを決めた。 第2試合結果 1着[渋谷ABEMAS]白鳥翔 +52.3 2着[BEAST Ⅹ]下石戟 +7.3 3着[TEAM RAIDEN/雷電]本田朋広 ▲18.7

By 麻雀界編集部
【雀魂】今年も日本プロ麻雀協会チームと雀魂チームが対局する「華風戦」の開催が決定!予選は11月9日(日)21時まで‼

【雀魂】今年も日本プロ麻雀協会チームと雀魂チームが対局する「華風戦」の開催が決定!予選は11月9日(日)21時まで‼

今年も日本プロ麻雀協会チームと雀魂チームが対局する「華風戦」の開催が決定した。 雀魂代表チーム決定戦(予選)は11月5日(水)17時にスタートし、11月9日(日)21時まで開催。 本戦は12月6日(土)14時から開始となる。 本戦配信には実況に秋瀬ちさとプロ、森川茉莉プロが参加。 ゲストに因幡はねるさん、千羽黒乃さんを迎えて行われる。 気になる参加選手だが… 協会Aチームからは浅井堂岐プロ、下石戟プロ、西乃うるりプロ、堀慎吾プロ、水口美香プロが参戦! 協会Bチームからは逢川恵夢プロ、木原浩一プロ、渋川難波プロ、仲林圭プロ、松本吉弘プロが参戦する。 総勢10名の人気・実力ともに間違いのないプロが、厳しい予選を勝ち抜いたメンバーを待ち受ける。 また、今年もVPLチームの参加が決定! 出場選手は神野莉子選手、黒兎ウル選手、 たここ選手、たんぽぽちゃん選手、ゆきもも選手の5名。 予選は11月9日(日)21時まで開催しており、今からでもまだ参加は可能! ぜひ豪華メンバーと戦える雀魂代表選手を目指してみてはいかがだろうか? 【大会告知 華風戦】 日本プロ麻雀協会様と雀魂チー

By 麻雀界編集部
【最高位戦日本プロ麻雀協会】第25期女流最高位戦決定戦のプレーオフが11月13日(木)より開幕‼

【最高位戦日本プロ麻雀協会】第25期女流最高位戦決定戦のプレーオフが11月13日(木)より開幕‼

第25期女流最高位戦決定戦のプレーオフが11月13日(木)より始まる。 女流最高位プレーオフ1stには吉田葵選手(Aリーグ4位)・宮本祐子選手(Aリーグ5位)・野添ゆかり選手(Bリーグ2位)・佐藤あや選手(Cリーグ1位)の4名が出場。 12:00よりYouTube「最高位戦チャンネル」にて生配信され、MCは後藤哲冶、解説は小宮悠・坂本大志が務める。 半荘4回戦を行い、上位2名が女流最高位戦プレーオフ2ndへ進出する。 女流最高位プレーオフ2ndは11月20日(木)に行われ、出場選手は高津柚那選手(Aリーグ2位)・丸山奏子選手(Aリーグ3位)・菅野真由(Bリーグ1位)に、女流最高位プレーオフ1st勝ち上がり選手2名を加えた5名で争われる。 こちらは11:00よりYouTube「最高位戦チャンネル」にて生配信され、MCは中里春奈、解説は朝倉康心が務める。 5回戦(1人4回戦)終了後、最下位は敗退。 6回戦目を行い、上位2名が女流最高位決定戦へ進出となる。 第25期女流最高位決定戦は11月30日(日)・12月27日(土)に行われ、既に現女流最高位の瑞原明奈選手、

By 麻雀界編集部