~楽しい! うれしい! 面白い! 子どもたちが牌と触れ合う~「福岡子ども麻雀教室」レポート

~楽しい! うれしい! 面白い! 子どもたちが牌と触れ合う~「福岡子ども麻雀教室」レポート

福岡子ども麻雀教室が4月20日、福岡市立中央児童会館「あいくる」7階で開かれた。

主催者であり、世話役を務めるのは小正英雄さん。九州麻雀業界の顔とも言うべき人。

「全国麻雀業組合総連合会 副理事長」
「九州地区麻雀業組合連合会 会長」
「福岡県麻雀業組合連合会 理事長」

などの肩書きを持ち、健全な麻雀の普及活動のため、北海道から沖縄まで精力的に全国を飛び回っている。
普段は福岡市内で大人向けの麻雀教室の講師を務めているという。
聞けば御年68歳。まったく見えない。声に張りがあって、服装もおしゃれで若々しい。

主催の小正英雄さん

小正さんに少し話をうかがった。

──なぜ、子ども麻雀教室を開こうと思い至ったのでしょうか。

小正「今、麻雀は幅広い世代に人気があります。特に『一度やってみたい』という小学生、中学生といったお子さんが増えています。
しかしながら、麻雀店では打てません。18歳未満は入店禁止という風営法が障壁になっていますから。
健全な麻雀というものをたくさんの方々に知ってもらうために、お子様だけの麻雀教室を開きたいと思っておりました。幸い、2回目の今回もこちらの児童会館をお借りすることができました。」

──初回はいつだったんですか。

小正「昨年の8月です。知り合いの方々に手伝ってもらいました。
そのときは手積みの麻雀卓でしたが、今回からはエールさん(注)の全面的なご協力があって、ありがたいことにすべて全自動卓で開催することができ大変助かりました。」

💡
(注)麻雀普及団体「YELL」
……2025年発足。全国の低年齢の子供達から年配の方々まで幅広い層にリアル麻雀を楽しんでもらうため、こども向けの麻雀教室や健康麻雀の場を提供中。

●子どもの目線に立って

前日の19日、福岡で一足先に現地入りしている関係者やスタッフ数名と合流。
今回一番の懸念は前日に麻雀卓を搬入できないこと。朝のスピード感が勝負という。

当日の午前7時、少し早めに出発。目的地へ向かう前に資さんうどんで腹ごしらえ。
恥ずかしながら、筆者は「しさんうどん」だと思っていた。正しくは「すけさんうどん」。 福岡県民は当たり前のようにそう呼んでいる。また一つ学びを得た。

児童会館「あいくる」に到着した。しばらくして小正さんと合流。学生ボランティアの3人も駆けつけた。
午前9時頃、麻雀卓の搬入を開始。梱包されたパーツを荷台から下ろし、それをエレベーター前まで移動し、7階会場「多目的ルーム」に運び込む。
エールスタッフ、ボランティアそれぞれが、てきぱきと作業をこなす。
さすがは元麻雀店スタッフ、経験豊富な面々だけあって、扱い方が手慣れている。
ちなみにすべて「アモス アルティマ」の全自動配牌卓だ。
命を吹き込まれたように、5卓がガラガラと動き始めた。殺風景な空間が、あっという間に立派な麻雀店へと早変わりした。

当日のスタッフの皆さん。一番右が小正英雄さん

作業が一段落すると、小正さんが今日一日の成功を願って激励の挨拶をした。チームの結束感がいっそう強まった。

受付10分前、ぽつりぽつりと参加者が訪れ始めた。そんな中、トラブルが発生。1台がうまく作動しないらしい。
聞けば、ドラムに点棒が噛んでしまっているという。卓の構造に詳しいスタッフ2,3人が解決策を模索する。
万全の迎え入れ態勢ではないが、入り口が混雑してきたこともあって、見切り発車で受付を開始した。

小正さんが子どもの目線に立って優しく話しかける。麻雀をしたことがあるか、ないか。役が分かるか、分からないか。それらを確認し、おおよそのレベル分けをしていく。
役が分からない子どもには、タンヤオや平和など役の一覧が表記されたパンフレットが手渡された。

最終的に参加人数は15人。受付を済ませた子どもたちが誘導されて順次、卓の周りに座っていく。
ピカピカの牌と麻雀卓に興味津々の様子。保護者は椅子に腰掛けて、少し離れたところから見守る。できるだけ子どもに自主性を発揮してもらいたい、というのが小正さんの考えだ。

そんな中、さきほどの卓の不具合が解消された。分解して詰まっていた点棒を取り出したらしい。これでフル稼働が見込まれる。

●グループ作りと4枚麻雀

午前10時10分、開会の挨拶後、早速こども麻雀教室がスタートした。
スタッフたちはオレンジ色のエプロンで統一している。
小正さんの目の前には、まったく麻雀を知らない子ども、または初心者が集まった。

まずは牌の種類から説明。マンズは一〜九の漢数字が彫られているので、比較的認識しやすいかもしれない。
ピンズとゾーズは難しい。例えばk。麻雀を打ち慣れた者なら形で覚えてしまっているが、知らない子どもは1つずつ丸の数を数えて、ようやくそれが8と分かる。

に至っては完全に動物(鳳凰だが)。これは「ソーズの1」です、と言われても戸惑ってしまう。それでも小正さんを始め、スタッフたちが根気よく教えていく。 女の子がを手にして不思議そうに言う。

「何も書いてないのがある」
ミスプリントだと思ったかな?なるほど、そういうふうに見えるんだ ──麻雀に染まり切った大人にとっては忘れ去った視点だった。

ある程度、牌の種類が理解できたら次のステップは「メンツ」。小正さんは分かりやすい言葉で「グループ作り」と呼ぶ。
「それでは3枚ずつ揃えてみましょう。組み合わせは123でもいいし、678でもいい。大事なのはマンズならマンズ、ピンズならピンズ、同じ種類で揃えること。違う種類はダメですよ。
ちなみに891もダメ。そこはつながりません。

など漢字もつながりません。555や777など、同じ牌を3つでもオッケーですよ。そういうグループを作ってみましょう!」

子どもたちが、おっかなびっくりグループを作っている。
教えを理解してあっさり完成する子もいれば、要領を得ない子もいる。小正さんはそういう子に寄り添って、噛み砕くように優しくアドバイスする。
ほとんど答えを教えているが、それでいいのだ。
グループが完成すると「すごいねぇ」「よくできたねぇ」としっかり褒める。

当日の福岡市立中央児童会館での教室の様子

体験した子どもたちに、一言コメントをもらった。

■低学年の女の子
「パパが勝手に申し込んで。麻雀をやったことはある。楽しかった。牌の種類とかはまだ覚え切れなくて。」

■低学年の男の子
「一度マージャンをやってみたいと思っていた。お母さんはやりません。でも、僕にはやってほしいと。最初は難しいと思ったけど、一応できた。」

■中学生の男の子
「初めてやったのはゲームの麻雀。ルールは大体分かるけど、符の計算はまだできない。
家族で麻雀が分かるのはパパだけ。リアルの卓で打つのは2回目。今日は何度かアガった。でも役は覚えていない笑」

■高学年の女の子
 「楽しかったです。でも考えるのが思ったより大変で、少し疲れた。麻雀牌はツルツルしていてキレイだった。」

参加者を見送ってから改めて、小正さんにお話をうかがった。

──本日、子ども麻雀教室を終えて感想を聞かせてください。

小正「とってもみなさんに楽しんでもらえたし、ありがたいことに、たくさん応援、支援をいただきました。一人ひとり来場された方々に十分アドバイスできたかなと思います」

──次の開催日は決まっていますか。

小正「次回は7月27日を予定しています。時間は本日同様、午前10時〜午後1時までの3時間。会費は1500円(1時間500円)、初回の方はサービス(無料)です。
現在は会場の関係で月1回のペースでしか行えないんですが、どこか固定の場所を借りられるようになれば、例えば毎週土日開催が可能。そういうふうになれば理想かなと思っています。」

──子どもに教えるとき、どのようなことを心掛けていますか。

小正「楽しい! うれしい! 面白い! そういった部分をいかに印象づけて指導していくか、お話していくか。それが大切だと考えています。
ですから些細なことですが、子どもさんがアガったとき、周りの方々に盛り上げてほしいとお願いしています。」

──なるほど、まずは麻雀の楽しさから入ると。難しさや複雑さは、次のステップなんですね。

小正「そうですね、段々レベルが上がってくれば、そういった説明も必要になってくるかと思います。
幸い、お手伝いしてもらっているスタッフは、みなさん非常に高いスキルをお持ちなので助かっています。
将来、こちらの教室からプロ雀士やMリーガーが誕生すれば大変うれしいですね。」

──子どもたちが麻雀に触れることでどういったものが養われるとお考えでしょうか。

小正「横浜の大学の先生にお願いして、麻雀がどれぐらい知育に効果があるかを調べていただきました。
1年間、お子様が麻雀をすると、なんとIQ(知能指数)が8ポイント上昇するというエビデンスがあります。
麻雀というゲームはとっても奥深くて、コミュニケーション能力、判断力、また礼儀など色々なものを養うことができます。」

──最後に一言お願いします。

小正「一昔前、麻雀はイメージが良くありませんでした。しかしここ最近は、喜ばしいことに知的ゲームとしてポジティブなイメージで認知されるようになってきました。
また先程も申し上げました通り、コミュニケーションとして非常に優秀なツールにもなります。
年齢、世代、性別関係なく誰でも楽しめます。さまざまな問題を抱えるこのご時世ですが、牌を通じて楽しい時間を共有してほしい。
 そのために、頑張って麻雀の輪を広げていきたいと思っています。」

小正さんも積極的に子どもたちへ麻雀のおもしろさを伝える

【筆者紹介】上地 隆蔵(うえじ りゅうぞう)
1972年7月9日生まれ、和歌山県出身。
1993年、将棋プロ棋士養成機関の関西奨励会を1級で退会。6年間のサラリーマン生活を経て、2000年「週刊将棋」編集部、2006年「将棋世界」編集部に。その後、将棋観戦記者となる。
趣味は麻雀。主に出没する麻雀店は池袋。麻雀店で開催される大会で優勝するも実力が伴わず周りからは「(名ばかり)チャンプ」と呼ばれている。

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