第2回全国高等学校麻雀選手権大会~その一打に想いを込めて、若き雀士たちによる青春物語~

第2回全国高等学校麻雀選手権大会~その一打に想いを込めて、若き雀士たちによる青春物語~

8月15日(土)、第2回全国高等学校麻雀選手権大会の決勝が行われ、300チーム・600名の若き雀士たちの頂点が決定した。

本記事では予選から決勝までを振り返ると共に、選手や関係者の声もお届けしたい。

九州予選

今年新たに新設された九州予選。
7月5日(日)に福岡市・N高等学校福岡薬院キャンパスにて行われ、全国大会への1枠を目指した熱い闘牌が行われた。

当日は大雨の影響も心配される中、無事9チーム・18名全員が揃い、最終戦で大きなトップを獲得しての逆転勝利を収めた福岡県立東筑高校の川崎空さん・嶺太晴さんが全国大会進出を決めた。

西日本予選

7月11日(土)・12日(日)に大阪府・N高梅田キャンパスで行われた西日本予選。

一日目には53チーム・106選手が参加。
5チームが全国大会進出となる中、1位で勝ち上がった福井県・啓新高校の河村琉生さん・河村陵生さん。
1文字違いの2人は双子で、昨年はトップ4回・ラス4回で悔しい思いをしたが、今年はトップ5回・2着3回と全連対で抜群の安定感を見せた。

予選二日目には47チーム・94選手が参加。
4チームが勝ち上がりとなる中、最終戦で上位4チームが全て入れ替わる波乱の展開となり、見事1位で勝ち上がりを決めたのは奈良県・西大和学園高校の江口花帆子さん・松本航太郎さんとなった。

勝ち上がりチーム

【1日目】
福井県・啓新高校(河村琉生さん・河村陵生さん)
愛知県立旭丘高校(富山檀さん・小島渉生さん)
名古屋経済大学市邨高校(加藤陸旺さん・岡崎正道さん)
S高等学校(岩田一希さん・福田照子さん)
S高等学校(三宅晃生さん・森山翔太朗さん)

【2日目】
奈良県・西大和学園高校(江口花帆子さん・松本航太郎さん)
兵庫県・甲陽学院高校(谷川諒成さん・安達弘将さん)
大阪府・履正社高校(小島蓮登さん・田中大也さん)
N高等学校・R高等学校(神谷朝陽さん・千島明博さん)

東日本予選

7月19日(日)・20日(月・祝)に東京都・N高新宿代々木キャンパスにて行われた。

1日目には94チーム・188選手が参加。
1位で全国大会進出を決めた千葉県立船橋高校の林瑛人さん・古田祥也さん。
校内での同好会設立を目指す2人は、「全国大会でも結果を残して認めてもらえるようにしたい」と語った。

2日目には95チーム・190選手が参加。
1位は北海道札幌平岡高校の岩崎心那さん・岩崎大河さん。
姉弟のペアで3トップずつの384.3ポイントを獲得し、昨年と併せて584チーム中の歴代最高スコアとなった。

勝ち上がりチーム

【1日目】
千葉県立船橋高校(林瑛人さん・古田祥也さん)
東京高専(根本巧太郎さん・高麗光さん)
麻布高校(鈴木蒼偉さん・永島幸将さん)
長野高専(市原望叶さん・小林莉子さん)
東京都立千歳丘高校(木菱巧さん・飯塚大喜さん)
神奈川県立岸根高校(三嶋大久さん・亀岡亮輔さん)
R高等学校・S高等学校(後藤奏さん・山崎陽大さん)
長野高専(前田卓美さん・佐藤大輔さん)
つくば秀英高校(山本廉さん・高城愛子さん)

【2日目】
北海道札幌平岡高校(岩崎心那さん・岩崎大河さん)
東京学芸大学付属高校(近藤達陽さん・平木凜仁さん)
自由学園(五十川駿平さん・町田悠真さん)
鹿島学園高校成田キャンパス(糸山裕行さん・田中海来さん)
青稜高校(百瀬蒼一郎さん・井澤悠輝さん)
市川高校(奥山哲博さん・関山黎音さん)
長野県長野高校(寺嶋大智さん・中條聖陽さん)
東海高校(櫟木琢未さん・水谷陸人さん)
開智日本橋高校(北薫生さん・村井淳之佑さん)
広尾学園高校(尾崎太郎さん・池田悠之丞さん)

全国大会

本戦

8月13日(木)に朝日新聞東京本社読者ホールにて行われた本戦には、各地方予選を勝ち上がったチームに昨年優勝の東京都立小石川中等教育学校の紀平一磨さん・小林温太さんらシードチームを加えた32チームが参加。

本戦開始前には今回新設された思考力賞を決めるペーパーテストを実施。
実力はもちろんだが運の要素にも左右される対局結果とは別に、勝敗だけでは見えない「考える過程」に焦点を当て、最高位戦日本プロ麻雀協会・園田賢プロ作問・監修のテストが行われた。

本戦の対局は1セッション1名がリアル卓で1半荘(80分+1局)、もう1名がアプリ卓でセガNET麻雀MJ・麻雀格闘倶楽部spを1半荘ずつ(時間打ち切り無し)の1セッション3半荘。

全4セッション・12半荘にて行われ、上位16チームが準決勝へと進出となる。

本戦のリアル対局では、第3セッションでS高等学校の山崎陽大さんが大三元を和了。
1副露で完成しての待ちに、周りからは驚きの声が上がった。

会場には運営・審判以外にもメディアなどの関係者以外にも、選手の保護者や部活・サークルの仲間、引率の先生などが会場に駆けつけ、熱い視線を送っていた。

特に印象的だったのは紀平修さん。
昨年優勝の小石川高校・紀平一磨さんのお父様で、アプリ対局を観戦したり、時にはリアル麻雀を少し離れたところから見守り、応援する姿はまるで3人目の選手のような熱を感じた。

いよいよ全ての対局が終わり表彰式。

まず初めに発表されたのは思考力賞。
受賞したのは広尾学園高校の尾崎太郎さん・池田悠之丞さん。

その後上位から勝ち上がりチームが発表され、なんと1位で準決勝進出を決めたのも広尾学園高校の尾崎太郎さん・池田悠之丞さん。

2位は唯一の九州勢となる福岡県立東筑高校の川崎空さん・嶺太晴さん。
嶺太晴さんは本戦個人成績1位を獲得した。

3位には昨年優勝の東京都立小石川中等教育学校の紀平一磨さん・小林温太さんが入り、以下16位までが準決勝に駒を進めた。

成績発表後には上位から順に準決勝の組み合わせ抽選が行われ、準決勝のアプリ対局が行われた。

準決勝

準決勝からはアプリ対局2半荘(セガNET麻雀MJ・麻雀格闘倶楽部spを1半荘ずつ)、リアル対局2半荘の計4半荘で成績を競う。

準決勝は4ブロックに分かれ、各ブロック1位が決勝へ進出。
アプリ対局は本戦終了後に行われ、リアル対局はABEMA麻雀チャンネルで生中継が行われるため、翌日から場所を移しての開催となる。

初めての放送対局に緊張して手が震えたり、思わず打牌が強くなってしまったり、見られているという意識が普段以上に色々考えさせ手が止まったりという姿も見られたが無理もない。

選手はみな高校生で、一般の麻雀店には入ることができない。
家庭で自動卓を持っている、部活で学校に自動卓があるという環境にいなければ、自動卓で麻雀を打つという経験すら今大会で初めてなのである。

そんな中でも精一杯、負けていった選手たちの分まで一打一打に想いを込めて闘い、見事決勝に進出したのは次の4チーム。

Aブロック 東京高専(根本巧太郎さん・高麗光さん)
Bブロック 小石川中等教育学校(紀平一磨さん・小林温太さん)
Cブロック R高等学校・S高等学校(後藤奏さん・山崎陽大さん)
Dブロック S高等学校(岩田一希さん・福田照子さん)

決勝

8月15日(土)、いよいよ優勝の決まる決勝戦。
決勝はアプリ対局も放送対局となり、セガNET麻雀MJでの対局にはセガサミーフェニックスから醍醐大選手が、麻雀格闘倶楽部spでの対局にはKONAMI麻雀格闘倶楽部から高宮まり選手が解説として参加。

アプリでの対局が終わり首位は東京高専で+129.0ポイント。
2位は小石川の+33.9ポイントで、その差は95.1ポイントと大きなリードを築く。

しかしリアル対局に変わって3回戦。
小石川が東京高専とのトップラスに成功し逆転。
最終戦は小石川・東京高専は着順決着、残る2チームは並びを作って大きく素点差をつける条件に。

3回戦までの成績/©ABEMA

そして決勝最終戦。
東1局からS高が大きなアガリで逆転に向け動き出したかと思えば、小石川・東京高専も負けじと食らいついていく。

気が付けばオーラスは全員が原点付近に集まり大接戦。
トップは小石川・紀平一磨さんで28700点、東京高専・根本巧太郎さんは3着だが24100点とその差はわずか4600点で、5200点以上の出アガリか1000・2000のツモアガリ、小石川・紀平さんからの直撃なら2600点で優勝となる。

結果は東京高専・根本巧太郎さんが満貫の出アガリに成功し、見事再逆転で優勝。
決勝はトップ1回・2着3回と抜群の安定感と強さを見せた昨年王者の小石川は惜しくも準優勝となった。

優勝した東京高専は1年生同士のチーム。

高麗光さんは
「やってくれると信じていたが、負けたら自分のせいだと不安があった」
と語り、オーラスに違づくにつれ一喜一憂する姿がとても印象的だった。
一方の根本巧太郎さんは
「楽しいなぁ~と思って打っていて、オーラスもカンが入った時にはカンドラが乗ると信じていた」
と終始のほほんとした様子で話してくれ、大舞台でもいつも通りの麻雀ができた心の強さが感じられた。

昨年の準優勝校は東京高専の村松直哉さん・窪添慧さんで、昨年当時3年生同士のチーム。
根本巧太郎さん・高麗光さんは先輩方の分までと想いを背負い、8月に入ってから本番に向けて4人で一緒に卓も囲んだという。
高麗光さんはそれ以前からも押し引きのバランスが参考になると村松直哉さんの麻雀を見て勉強していたと打ち明けた。

終わりに―

今大会主催の朝日新聞社・藤田明人さんにも話を伺った。

今大会は九州予選も新設し参加も300チーム・600名と増えたが、まだまだ課題は多いと話す。

参加したい選手がいても部活や同好会が無い学校では自力でパートナーを探さなければならず、身近に普段から麻雀打っているという友人が見つかるのは稀で、当たらに麻雀を始めてくれる友人に1から教えてのスタートになることもあるという。
麻雀の普及という見方としては嬉しい話ではあるが、高校日本一を決める大会に出るとなると、なかなか厳しいと感じる子もいるだろう。

また、学校側の許可を取るのにもまだハードルはある。
昨今Mリーグの影響で頭脳スポーツとしての麻雀が広く認知されてきてはいるが、それを高校生など未成年にとなると話は変わってくる。
実際にポスターの掲示をお願いしたり1年間地道に準備を重ねてきて、直接会えば想いも伝わってようやく理解を得れる場合もあるが……と、その苦労を語ってくれた。

今後は予選会はさらに増やしていきたいと話し、潜在的にまだまだ高校生の麻雀人口はいると思うが、出場するには東京・大阪・福岡のどこかの予選会に行かねばならず、そこがネックになっているところもある。
同じ朝日新聞社が主催する高校野球のように、いずれは各都道県で予選が行われ代表選手が選ばれる、そんな未来を思い描く。
更に、女性比率をもっと上げたいとも話してくれた。

今大会の参加選手で女性の割合は約10%ほどだったという。
麻雀は他の肉体スポーツと違って、男女が有利不利無く平等に成績を競える競技であり、Mリーグを始め活躍する女性麻雀プロも多くいる。

高校麻雀の仕掛け人で朝日新聞の麻雀担当・藤田明人さん。自身も最高位戦日本プロ麻雀協会に所属し麻雀普及に努める

全国麻雀業組合総連合会が風営法の許可を必要としない麻雀の学習施設に関する要件を整理した「風営法適用外麻雀施設ガイドライン」を公表するなど、若年層が麻雀に触れる機会は今後増えていくだろう。
麻雀を通じて多くを学び、人としても成長して立派に戦う姿が多く見られることを願ってやまない。

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